アクティビストたちの動きに戦々恐々

 もうひとつ、フジテレビの懸念材料となっているのが、大株主となっているアクティビストの存在だ。

 目下、フジは旧村上ファンド系の投資会社「レノ」の意向を懸命に探っている。同社と村上世彰氏(65)の長女・野村絢氏ら共同保有者との合計でFMH株の保有比率は11.81%。FMH株の大量保有は4月4日に明らかになったばかりだが、買い増しを続け、筆頭株主に躍り出ている。

「村上氏サイドが株を買っていることまでは2月の時点で分かっていた。当初は株主総会向けのことかと思ったが、どうやら違う。村上氏サイドは筆頭株主として、ずっとFMHとフジに発言力を持とうとしているようだ」(フジ関係者D)

 村上氏とフジの間には「村上ファンド事件」(2006年)という遺恨がある。村上ファンドの代表だった村上氏が同年、フジの持株会社的存在だったニッポン放送株をインサイダー取引で買ったとして逮捕・起訴され、有罪判決を受けた。これに村上氏は不満を抱き続けていると伝えられている。

 また、はっきりと金光氏と清水氏の退任を要求しているのは7.19%を保有するダルトンである。

「第三者委員会に指摘された経営責任を負う者が、新役員陣に残る意図が理解できない」(ダルトン)

 さらにFMH株の5.12%を保有する資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」の藤野英人社長(58)も新役員人事に否定的だ。

「おそらくレノ、ダルトン、レオスの3社は連携している。金光氏が会長になるのは難しいのではないか」(同・フジ関係者D)

 さらに、やはりフジと遺恨のあるホリエモンこと堀江貴文氏(52)が、水面下で3社と接触している可能性があると社内では噂されている。村上氏と堀江氏は親しい。

 もとより、CM出稿は回復の兆しが見えていない。フジテレビの危機はまだ終わりそうもない。