同期入社の金光氏と清水氏
社内の新役員人事への不信感も日増しに高まっている。日枝氏、嘉納修治前FMH会長兼フジ前会長(75)、遠藤龍之介フジ副会長(69)、港氏、大多亮・関西テレビ社長(66)らが次々と辞めたにもかかわらず、金光氏は残ったからだ。
金光氏は2017年にFMH社長に就任。2021年から1年間はフジの社長も兼務した。
「この間、日枝氏に人事権を握ることを許したのだから、責任がないとは言えない」(フジ関係者D)
金光氏はフジの社長に清水賢治氏(64)を推した。清水氏は6月の株主総会でFMHの社長兼務が決まる予定だ。
「これは金光氏にとって好都合な人選。清水氏なら金光氏の意向がなんだって通るだろう」(同・フジ関係者D)

金光氏は西武百貨店からの中途入社なので清水氏とは年齢が離れているが、実は2人は1983年の同期入社である。初配属先も編成部で一緒。さらに2人とも50代半ばで経営企画局長を経験している。2人は同じラインなのである。パイプは極めて太い。
社員たちが新役員人事へ不信感を持つ理由はまだある。株主総会で選任されるFMHの役員11人のうち、プロパーは5人だが、そのうち2人が経営企画畑なのだ。金光氏と清水氏を加えると4人。圧倒的多数である。経営企画局は金光氏と清水氏の出身母体である。
また、フジの新役員は10人でプロパーは4人だが、こちらも清水氏を含めると経営企画畑が2人。過半数だ。
「そもそも新役員の人事案の叩き台は金光氏が経営企画局の側近に叩き台をつくらせた。フジとFMHのトップ層が経営企画畑出身者ばかりになっていることを懸念する声が上がっている。さらに社員は社外取締役たちの人選にも警戒心を抱いています。金光氏が決めていますから」(同・フジ関係者D)
社員の懸念はまだある。
「日枝氏は右腕だった金光氏を使い、復権を目論んでいるのではと一部で囁かれている。金光氏としては、『事ここに至った以上はさすがにそれは……』と考えていると思うが、ずっと日枝氏に実権を握らせていたため、社内外の基盤が弱い。もし日枝氏に強く出られたら対抗するのは簡単ではないだろう」(フジ関係者C)
さらに、金光氏はFMH内で稼ぎ頭であるサンケイビルの飯島一暢社長(78)らとも折り合いが良くないとの指摘がある。飯島氏もフジの元経営企画局長。金光氏は部下だった。その後、立場が逆転したことなどが軋轢を生んだとされている。そこを懸念する社員もいる。