
トランプ米大統領はこのほど、台湾積体電路製造(TSMC)が米国に新たに1000億ドル(約15兆円)の投資を行うと発表した。トランプ政権が推進する国内半導体産業の強化策の一環だ。今回の追加投資により、TSMCの米国半導体施設への投資総額は1650億ドル(約25兆円)になる。
トランプ氏は、ホワイトハウスを訪れたTSMCの魏哲家・董事長(会長)兼CEO(最高経営責任者)との会談後に会見し、「この1000億ドルの新規投資は、最先端の製造施設を建設するために使われ、何千人もの雇用を生み出す。そして、それらは高給の仕事だ」と述べた。
トランプ氏は「世界で最も強力なAIチップが、まさにここアメリカで製造され、それは彼(魏氏)の会社が製造するチップの大部分を占めることになる」とも付け加えた。
TSMC「米国史上で最大の単一外国直接投資」
米国は、半導体ファウンドリー(受託生産)世界最大手のTSMCに対し、米国内生産の拡大を強く求めてきた。背景には、経済安全保障上の懸念があった。
2020年の第1次トランプ政権時代において、TSMCは米西部アリゾナ州フェニックスに120億ドル(約1兆8000億円)を投じて工場を建設すると発表した。その後、TSMCは計画を拡大し、総投資額を650億ドル(約9兆7000億円)に引き上げた。
2024年4月には、フェニックスに3つの先端半導体製造工場を建設するための支援として、米政府からCHIPS・科学法に基づく66億ドル(約1兆円)の補助金が約束された。その第1工場は既に完成しており、2024年10~12月に操業を開始した。残り2工場の建設も順調に進んでおり、第2工場は2028年に稼働が始まる見通しだ。
今回の発表では、さらに3つの半導体工場、2つの先端パッケージング施設、そして研究開発(R&D)拠点を設ける計画が示された。これによりTSMCが米国内に設ける半導体施設は計9つになる。