1月24日、第217通常国会が召集され、衆院本会議で就任後初の施政方針演説をする石破首相(写真:共同通信社)
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(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

「令和の日本列島改造」が秘めた大きな可能性

 1月6日の年頭会見、そして24日の施政方針演説の中で石破茂総理は「楽しい日本」というスローガンを掲げました。そして楽しい日本の実現のために「令和の日本列島改造」による「地方創生2.0」を進めていくと決意を述べました。政府機関の地方移転(首都機能移転)についても言及がありました。

「楽しい日本」という言葉が少々ふわっとした印象を与えてしまったためか、世論はさほど盛り上がっていないようですが、令和の列島改造には大きな可能性があると私は思っています。

「令和の列島改造」はもちろん田中角栄元総理の「日本列島改造論」を意識したものだと思われます。岸田文雄前総理が掲げた「デジタル田園都市国家構想」は、同じ宏池会出身の大平正芳元総理の「田園都市国家構想」を下敷きにしています。石破総理は、政治の師と仰ぐ田中元総理が中央と地方の格差を解消するために打ち出した政策を現代風に改めて、初代の地方創生担当大臣を務めるなどしたこともあって自身のライフワークとなっている地方創生を進めたいという思いがあるのでしょう。

 地方創生に関しては、私が代表を務める青山社中は、政策シンクタンクとして全国各地の自治体の活性化などのお手伝いをしている関係から、また、私自身、会社創設以来約20カ所でアドバイザーや審議会の座長等を務めて来ている関係から、一定の知見を持っていると自負しています。実は、まさにこのJBpressでも地域活性に関しては、何度か論考を出しており、まさに、「シン・日本列島改造」や、「首都機能移転」を標題に掲げて書いたこともあります。

(参考記事)
勢いを失ったいまの日本に必要な「シン・日本列島改造」(2023.1.20)
コロナ危機に大胆な経済対策を!新・首都機能移転論(2020.3.27)

 そういう背景があってか実は昨年末、石破官邸の関係者や新しい地方経済・生活環境創生本部事務局(新地創局)の幹部、古巣の経産省の地方創生担当部局の幹部などに、ご依頼をいただいて地方創生に関してご説明をする機会がありました。そして、今年1月には、2度にわたって、地域で活躍する方々2名ずつと私とで、石破総理と朝食をご一緒させていただいたりもしました。石破総理とは全くの初対面でしたが、真剣に地方創生に取り組もうとされていて、真摯に議論して良いものを実現させようというご姿勢を感じることができました。

 今回は、私の大いなる期待もこめて、私が総理周辺の人々に説明したあるべき地方創生のエッセンスについて説明してみたいと思います。