革新政党に肩入れする裁判官

 保守紙の『朝鮮日報』をはじめとするメディアの一部からも、憲法裁裁判官の最近の行動について、公正性に対する懸念を指摘している。

 例えば、任命のたった2日後に弾劾された放送通信委員長に対する弾劾審判で、ウリ法研究会出身の3人組は全員「弾劾引用」意見を出し、共に民主党が主導した29回にわたる弾劾事件に対しても「弾劾乱発ではない」という結論を下したことなどが指摘された。

 10件を超える検察人事と政府人事に対する弾劾審判が数カ月間も処理されていないままなのに、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が提起した権限争議審判「マ・ウンヒョク憲法裁判官候補者の任命保留に対する憲法訴願」を最優先に処理する動きに対しても批判が起きている。崔相穆(チェ・サンモク)権限代行は国会が推薦した3人の憲法裁判官のうち2人だけを任命した。

 マ・ウンヒョク候補は共に民主党が推薦した2人の憲法裁判官候補のうちの1人だが、国会推薦は与野党が1人ずつ、与野党合意で1人が推薦されなければならないという点を挙げて裁判官は任命しなかった。このマ・ウンヒョク裁判官もウリ法研究会出身であり、米国を光州民主化運動の民間人虐殺の背後に名指しするなど、親北性向が強い「仁川地域人民労働者連盟」に所属していた過去があるバリバリの左派裁判官なのだ。

 しかし、これらの批判に対して憲法裁は、「裁判官の個人性向を画一的に断定し弾劾審判の本質を歪曲している」「司法府の権限侵害の可能性がある」としてむしろ攻勢に出た。共に民主党の庇護の下、司法府の権威を前面に出して批判的な声を静めようという考えだろう。