中国が成熟プロセスの約半分を掌握
前述した通り、トレンドフォースの予測では、2027年に中国が成熟プロセスのキャパシティで47%と、ほぼ半分を占めることになっている。しかしこれは、米国にとって非常に頭の痛い問題となる。
というのは、成熟プロセスで製造される半導体は、クルマ、産業機械、各種電子機器など、非常に幅広い製品に使用されるからである。加えて、スマホやPCなどには最先端プロセスで製造されたプロセッサなどが搭載されるが、それらの電子機器にも成熟プロセスで製造された半導体が漏れなく使われている。
このように2027年には、ありとあらゆる電子機器等に幅広く使われている、成熟プロセスで製造された半導体のキャパシティの約半分を中国が掌握してしまうことになる。しかも、米国は現時点では、このような中国の新たな半導体政策を規制することができない。
1月20日に第2次トランプ政権が誕生するが、世界の約半分を占めようとしている中国の成熟プロセスに対して、どのような対策をするのだろうか? 過激なことが起きなければ良いがと、今は息をひそめて成り行きを見守るしかない。
では、次は、先端プロセスの製造キャパシティを見てみよう。
先端プロセスの製造キャパシティの変化
図3に、2023年から2027年にかけての、ファウンドリの先端プロセスにおける製造キャパシティの地域別比率の変化を示す。
2023年は、台湾が圧倒的で71%、中国が8%、韓国が11%、米国が9%だった。台湾のシェアのほとんどがTSMCであろう。また、韓国はサムスン電子、米国はインテルとグローバルファウンドリーズ、中国はSMICの寄与によるものと考えられる。