大の里にも綱取りの期待

 最近の相撲人気は、インバウンドによる観戦者増という面も否定できない。スポーツと文化がうまく融合した大相撲は、外国にも通用するキラーコンテンツと言ってもいい。

 特に海外を訪問して、大相撲を紹介する場合、その伝統美を象徴する横綱は欠かせない。しめ縄を締め、華麗なる1人土俵入りはどの国の人々をも魅了する。

 過去の海外興行で、番付上横綱不在で行われたのは、「マドリード・デュセルドルフ巡業」のみ。その時でさえも、前の場所に引退した北勝海が、横綱土俵入りだけのために巡業に同行している。

 現在一人横綱の照ノ富士は慢性的な両膝や腰の痛みに糖尿病の悪化とまさに満身創痍。最近はかなり休場が目立っており、限界説もささやかれている。

 相撲協会は、無理やり横綱を作るようなことはしないだろうが、生きのいい横綱誕生を待ち望んでいることは間違いない。

 そうした期待に呼応するように、前述の通り琴桜と豊昇龍には、初場所後にも横綱昇進の可能性がある。また、新大関として九州場所を迎えた大の里は、9勝止まりに終わったが、その素質を考えると、今年中に一気に横綱に上がることも十分考えられる。

昭和48年の中国公演で、万里の長城を見学する北の富士(右)と先代琴桜の両横綱

 特に貴乃花が引退した平成15年初場所から今年の初場所までの22年間で、日本人横綱だったのは、稀勢の里ただ1人。今年は、最近貴重となった和製横綱誕生が大いに期待できそうだ。

 横綱誕生は角界最大のビッグイベント。人気が沸騰し、相撲黄金時代の幕開けとなる可能性は高い。令和7年の大相撲からは目が離せない。