2度目の箱根駅伝で“進化”を証明
佐藤は前回の箱根駅伝3区で日本人最高記録(当時)を42秒も上回る1時間00分13秒で駆け抜けたが、青学大・太田蒼生に26秒差で敗れている。今年は昨年よりも状態は良くなかったが、以前と比べて、“進化した走り”を披露した。
「同じ個所を痛めたことで、フォーム改善に力を入れてきました。恥骨をケガした原因として内転筋とお尻の筋肉が弱いことがわかり、その部分を強化したことで、接地が良くなったと思います。腕振りも以前は右腕をダイナミックに振っていたんですけど、いまは結構コンパクトにバランスよく振れるようになって、楽にスピードが出せるフォームになった。そこは以前より成長できているのかなと感じます」
10か月ぶりの実戦で佐藤は“新たな感覚”をつかんだようだ。
そして佐藤が目指す背中は過去の日本人では考えられないほどスケールが大きい。世界陸上の5000mを連覇して、昨年のパリ五輪5000mでも金メダルを獲得したヤコブ・インゲブリクトセン(ノルウェー)だ。
「自分はアフリカ勢が相手でも負けない走りをするヤコブ選手に憧れているので、彼の走りを研究しています。ケガで走れない時期もヤコブ選手が活躍した動画を観て、自分もこういう選手になりたい、自分も高い目標を持って取り組んでいこうという気持ちになったんです」
箱根駅伝を終えた佐藤は、すでに次の目標に切り替わっている。
「昨季ほとんどレースに出られなかった悔しさを今年9月の東京世界陸上で晴らしたいと思っています。まずは出場権を得られるように、5000mで12分台を出したい。そのためには1500mと3000mの能力も必要です。自分は明日から1500m(3分35秒42)、3000m(7分40秒09)、5000m(13分08秒40)で日本記録の更新を目標にやっていきます」
“地獄”から生還した佐藤圭汰。箱根駅伝の快走をステップに次は世界の舞台へ切り込んでいく。