大好評の企画列車から冬景色を
また各駅停車の列車を使用し、駅に停車するたびに地元農家のお母さんの手作り料理が車内に持ち込まれる「ごっつお玉手箱列車」や、6~7種類の地酒と地元老舗料理店のお弁当が楽しめる「地酒と地場産食材のマリアージュ列車」などの企画列車も大好評だ。
さらには沿線自治体や高校生などと協力し4つの場所にて田んぼアートを作成したり、全面畳敷きだったりミニステージを備えた貸切やイベント用の車両も充実させるなど、さまざまな取り組みや試みをおこなっている。しかしながら2024年度は2億円近い赤字で、今後の沿線自治体の支援も減額していく方向が決定しており、経営が厳しいことに変わりはない。
とはいうもののこれからの時期、秋田内陸縦貫鉄道には魅力がいっぱいだ。まずは水墨画のような冬景色。雪によって白と黒とで表現された墨絵のような眺めには、しばし絶句。さらに沿線のお母さんたちが手づくりしたつるし雛と、園児たちによるひな飾り作品をデコレーションした「おひな様列車」も企画列車として運転される。
そして最大のイベントといえば、上桧木内駅近くでおこなわれる紙風船上げだ。地域に100年以上前から続く小正月行事で、無病息災や五穀豊穣、家内安全などの願いを込め、灯火をつけた巨大な紙風船約60個が真冬の夜空に舞い上がる。それは冬蛍とも呼ばれ、この上なく幻想的なシーンである。毎年2月10日におこなわれるので、是非この機会に秋田内陸線に乗ってご覧あれ。
(編集協力:春燈社 小西眞由美)