【麻婆豆腐とは?】

豆腐が料理名に入っているため、漢字文化を共有する日本人にも概要は想像に難くない。しかし、麻婆とは何を意味しているのだろうか?調べたところ、「顔にあばたのあるおかみさん」の意味らしい。中国四川省の食堂のおかみさんが労働者向けに作ったのが発祥とされ、彼女の顔にあばたがあっのだという。

世界中で愛される料理の創始者に対し、リスペクトに欠けるが、料理名は各国それなりにカオスを孕むようだ。とはいえ、麻婆豆腐の重層的なうま味に刺激とコク、辛みは、額に汗しつつ、やめられない止まらない。

中国料理は炎の芸術!
ゆえに、火力とスピードが命! 

では家庭では歯が立たないのかというと、実は勝算があることが判明した。今回指南を依頼したのは、四川料理を日本に広めた功績を持つあの名店「四川飯店」料理長の田中良司さん。家庭の火力を再現するため、カセットコンロを使用し、手に入る素材だけで教えていただき、各プロセスで見極めるべきポイントも解説。

どの調理工程で何を完遂するか、気づけないのが我流家庭料理の盲点。本ページでは「早く言ってよ~!」ポイントをプロが解決する。
    
技術やセンスなど問えばキリがないが、知るだけでここまで変わる。
伸びしろだらけの“おうち中華”、新章突入を目指せ!

※本レシピは、家庭で再現しやすいようにお店のレシピを簡略化したものです。
白米必須なので、こちらも要チェック

陳麻婆豆腐

材料【4人分】

絹豆腐(1.5~2㎝のさいの目に切る)…1丁(400g)
豚ひき肉…80g
長ねぎ(みじん切りにする)…40g
水溶き片栗粉(水と片栗粉1:1の割合で混ぜる)…大さじ2


豆板醤…小さじ3
甜麵醬…小さじ2
豆豉醬…小さじ1
ラー油…小さじ1
一味唐辛子…小さじ1/2
おろしにんにく…小さじ1
こしょう…少々


鶏ガラスープ…150cc
醤油…大さじ1弱
紹興酒(料理酒でも可)…小さじ1

サラダ油…適量

作り方

1. 豆腐をボウルに入れ、使用直前まで水に浸しておく。

2. 鍋に湯を沸かし、塩ひとつまみ(分量外)を加えて水を切った豆腐を茹でる。

茹でた後は使用するまで湯に浸したままでOK。余分な水分が抜け、ぷりぷりとした弾力が出る

3. フライパンにサラダ油大さじ2を注ぎ弱火にかけ、豚ひき肉を入れ、パラパラに仕上がるようヘラなどで混ぜながら炒める。

ここでの目的は単に火を通すのではなく、後の調味料がしっかり入るよう、豚ひき肉の水分を十分に飛ばすこと

すでに豚ひき肉に火が入っているが、フライパンの表面には水分が出ている状態
さらにじっくり弱火で炒めると、水分ではなく粘性のある脂だけが残る

4. いったん火を止めて豆板醤と甜麵醬を加え、弱火にかけて豚ひき肉全体によく馴染ませる。 

焦がさないよう、このプロセスも弱火をキープ

5. 全体が混ざったら一度火を消し、おろしにんにくと豆豉醤、一味唐辛子、ラー油を加えて炒める。よく馴染ませた後、鶏がらスープを注ぎ、沸いてきたら水分を切った2を入れて弱火にかける。 

6. 5に紹興酒と醤油を加えて火にかけ、こしょうを振る。醤油の量は大さじ1弱だが、まずは半量を入れて味をみてから追加すると失敗がない。

7. 6が沸いてきたら、火を止めて長ねぎを加え、水溶き片栗粉を半量入れてから弱火にかけてゆっくり豆腐を崩さないように全体を混ぜる。とろみの具合はいったん沸かさないとわかりにくいため、様子を見ながら半量ずつ加える。

醤油を入れるときと同様、とろみ具合は一度で決めなくてOK

8. 水溶き片栗粉に火を入れるため、火力を中火に強め、再びふつふつと沸いてきたら化粧油小さじ2を入れて混ぜる。皿に盛りつけた後、お好みで仕上げに山椒パウダーを振っても。

水溶き片栗粉は、火を入れないと後で水っぽくシャバシャバに戻ってしまう。ここでは、水溶き片栗粉に十分に火を入れる。日本料理のあんかけなども同じなので、ぜひ覚えていておいてほしい

教えてくれたのは

料理長の田中良司さん 

「中国料理は火力が命と思われがち。プロの厨房ではそれも大切ですが、焦げたり途中で慌てて失敗してしまったりすることもあるので、弱火を使いこなすのが成功のコツです。今回は、家庭で作りやすい簡略化したレシピをご紹介しました。ポイントさえ押さえれば、自宅でも美味しい麻婆豆腐は作れます。ぜひ試してみてください」