「激しめの遊び」に400万円を使った月も
数年後に父が亡くなってからは、母の認知症が悪化。ちょっと外に出かけるだけで母が繰り返し電話をかけてくるため、最終的に荷物の仕分けも辞めた。
「父が亡くなってからの5年間はほぼ無職です。母が受給した年金は月20万円はありましたし、貯金もあったので」
そんなLさんが青くなったのは母親が亡くなった時。ちょうど60歳になっていたLさんは、今度は自分の年金の「繰り上げ受給」を申請した。年金と、スナックで意気投合した人から紹介されたパート収入、さらに親の遺産で暮らすようになったのだ。
「焦りはなかったですねー。母が亡くなって介護が終わり、心から解放された気分でした。セクキャバの女の子が平井堅のファンで、自分も大好きになっちゃって。『僕は君に恋をする』っていい歌ですねー」
楽しげに語るLさん。介護を卒業しても「激しめの遊び」を続け、親の遺産は消えた。そして3カ月前に「会社の業績が悪くて、もう雇えない」とパートも解雇された。60歳を過ぎた非正規は雇用の調整弁になりやすい。
今は食費を切り詰めるため、大量のカレーを作って冷凍し、それを少しずつ食べている。固定資産税は延滞中。仕事もせず、テレビを見て過ごす毎日だ。
「最近は暇だったので、当時どれくらいお金を使ったのかを計算してみたんです。すると、400万円くらい使っていた月もありました。同伴でフグや寿司を食べに行ったり、店でシャンパンを入れたりしていましたから。まあ、楽しかったから後悔はないです」
神戸市民のLさんだが、昨年話題になった兵庫県知事選では投票すらしていない。
「衆議院選は、石破さんが住民税非課税世帯に10万円配ると言っていたから、自民党に入れようかと思いましたが、面倒で行きませんでした。結局配られるのは3万円になるみたいだし、入れなくてよかったー」
それでも今はその3万円が待ち遠しい。