Lさんの貯金が0円になったワケ
とはいえLさんに危機感はなく、妙にフワフワしている。
「最近は食費を切り詰めているせいで、ちょっと痩せたんですよ」
Lさんが今のような生活になったそもそものはじまりは、10年ほど前に介護離職したことがきっかけだ。
「離れて住む父と母が次々と要介護になりまして。同じタイミングで自分は妻と離婚したので、会社を辞めて実家に帰りました」
介護離職と熟年離婚。Lさんは住み慣れた関東を離れ、実家の神戸に帰った。自己都合のため退職金はなし。別れた妻に、家と貯金の多くは引き渡した。
「大変でしたよ。父はパーキンソン病で体が徐々に不自由になり、母は認知症と糖尿病が出て、シモの世話もしなければならず……。精神的に参ってしまい、怒りたくないのに、母を怒鳴り散らすこともありました」
当時は朝だけ宅配便の配送センターで仕分け作業のパートをし、あとは両親の年金で暮らした。
「父親の年金は月に30万円はありました。面倒を見ているのは自分だし、父と母の年金も貯金も自由に使っていました」
そして、Lさんは両親の介護中に本物の“思案橋”を渡ってしまう。パーキンソン病で入院した父親の見舞いのついでに、夜の街に繰り出すようになったのだ。
「父親の見舞いといっても、病院にいるのは10分くらい。『元気?頑張りよ』と声をかけ、そのまま帰るのもつまらないので、セクキャバやスナックに行くようになった。それまで夜の街で遊んだ経験はなかったのですが、激しめの遊びにハマってしまって」
母をショートステイに預けたときはセクキャバの女の子と同伴で食事し、同伴出勤、締めはスナックでカラオケに行ったという。最初は週に1回程度だったが、徐々に回数が増えていった。