「にっこりーノ」に対する小川氏のこだわり

「にっこり」という日本語の親しみやすさに、フランス語やイタリア語風の響きの可愛さを加えたこのブランド名には、国内外で広く受け入れられることを意識した戦略だ。

「にっこりーノ」に対する小川氏のこだわりは尋常ではない。「使う生地によって表情が変わる。また目の開き具合、口の口角の大きさなども調整している。生産する中国工場で、私が『これと、この顔は違う』と指摘しても何が違うかわからないと言われるが、そこがにっこりーノを作るうえでのこだわりだ」(小川氏)。

 こうした工夫により、「にっこりーノ」は単なる商品ではなく、一つのブランドとして消費者に認知されるようになったのである。このように、「にっこりーノ」の裏側には、ブランド価値を高めるための緻密な計画があった。

 2024年12月時点で、「にっこりーノ」は150アイテムを販売し、販売累計数は500万個を達成した。特に、2022年に発売された「パンのぬいぐるみ」は、クロワッサンやクリームパンをリアルに再現したデザインとふわふわの触感で、子どもから大人まで反響が大きく、「早く再販してほしい」との声が後を絶たなかったという。