アマゾン、2025年にサービス開始か
アマゾンのKuiperはまもなく、多数の衛星を連携させる「衛星コンステレーション」の配備を開始する計画で、2025年には通信サービスが始まるとみられる。
アマゾンは2019年からインターネット衛星ネットワークの計画「Project Kuiper」を進めてきた。プロジェクトに総額約100億ドル(約1兆5400億円)を投じる計画で、地球上のどこでも利用できる高速ブロードバンド接続を大規模に展開したい考えだ(ロイター通信の記事)。
アマゾンは既に、3236基の衛星を地球低軌道(low Earth orbit、LEO)に配備する許可を米連邦通信委員会(FCC)から得ている。だが、その条件として2026年までに計画の半分を配備することが求められている。
そこで同社は、複数の人工衛星打ち上げ企業と提携している。2023年12月には、米起業家のイーロン・マスク氏が率いる米スペースXからロケットを調達すると発表した。このほか、米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance、ULA)や、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏率いる米宇宙開発ベンチャーのブルー・オリジン(Blue Origin)、フランス商業衛星大手のアリアンスペース(Arianespace)とも契約を結んでいる。同社はこれまでに80機の大型ロケットを確保している。
2023年10月には、同社初の試験衛星2基を載せたULAの大型ロケット「Atlas(アトラス)V」を打ち上げ、同年11月にその初期の試験通信に成功したと発表した。
台湾「スペースXのStarlinkは選択肢にならない」
だが、アマゾンにはまだ実績がなく、今後打ち上げペースを速める必要があると指摘されている。これに対し、スペースXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」には実績がある。既に約5000基以上が軌道上に展開されており、世界60以上の国・地域に数百万人のアクティブユーザーがいるとされる。
しかし、台湾当局はStarlinkの導入を検討していないという。その理由は、マスク氏の中国における広範な事業権益と、台湾に関する過去の発言だとFTは伝えている。
呉氏は記者団に対し、「マスク氏のStarlinkは中国とのつながりがあるため『選択肢にはならない』」と語った。マスク氏の過去の発言も障壁になっているようだ。FTによれば、マスク氏は2年前、「台湾の少なくとも一部の支配権を中国に渡して紛争を解決すべきだ」と提案していたという。