高級時計を筆頭にした高付加価値品がスイスの貿易黒字に寄与している(写真:Sebastian Ng/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)高級時計を筆頭にした高付加価値品がスイスの貿易黒字に寄与している(写真:Sebastian Ng/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

 かつて2大安全通貨としてならしたスイスフランと日本円だが、今では残酷なまでに差がついている。スイスフランは最強通貨の座を維持しているのに、なぜ日本円は他の通貨よりも安い先進国最弱の通貨になってしまったのか。(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

SNB、マイナス金利復活も視野

 2024年も終わりを迎えようとしているが、先進国通貨を見渡してみれば最弱通貨は3年連続で円、そして最強通貨はスイスフランということに落ち着きそうである。特定通貨の騰勢を考えるにあたって、市場では相対的に高めの金利水準が理由として持ち出されることが多い(ドル/円相場と日米金利差のように)。

 しかし、スイスフランの政策金利は決して高いものではない。

 12月12日、スイス国立銀行(SNB)は▲50bpの利下げに踏み切っている。これで今年3月に始まったSNBの利下げ局面は累計▲125bpに達し、現行の政策金利は2022年11月以来、2年ぶりの低水準となる+0.5%をつけている。

 つまり、日銀とSNBの政策金利は今やほとんど変わらないところまで来ている(図表①)。こうした両国の金融政策環境を踏まえた上で、為替市場に関する所感を示しておきたい。

【図表①】


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