② ステーブルコインは実需で利用が拡大か

 米国ではステーブルコインに関する法案「Clarity for Payment Stablecoins Act」も議論されている。この法案は、ステーブルコインの発行体に対してライセンス制度を導入し、銀行規制に類似した厳格な要件を課すことで、市場の健全性と透明性を向上することを目的としている。

 ステーブルコインは、暗号資産市場における決済通貨としての役割を果たしており、その発行総額はブロックチェーン上の「マネタリーベース」とも言える存在だ。実際、2024年に入ってからはビットコインが上昇する中でステーブルコインの発行総額が増加しており、それだけビットコインやアルトコインの買い需要が高まっていることを示唆している。

 また、ショッピファイやペイパル・ホールディングスなどの大手企業がステーブルコインを活用した決済サービスを提供しており、2025年はその利用が事業者参入とともに拡大することが予想される。これにより、ステーブルコインが実生活における決済手段として普及すれば、暗号資産市場の成長が一層加速することが見込まれる。

 こうした規制強化は、既存のステーブルコイン発行体に影響を及ぼす可能性がある。

 特に、世界最大のステーブルコイン「USDT」を発行するテザー社の動向には注目である。同社は、欧州のMiCA規制に準拠できない状況が続いており、米国においても同様の問題に直面する可能性がある。規制の影響でUSDTの流動性が大きく低下した場合、暗号資産市場に動揺が走る恐れがあるだろう。