③ 米国ではビットコイン準備金の実現も
米国では国家財政におけるビットコイン準備金の導入に関する法案も議論されている。この法案には、5年間で100万枚のビットコインを購入する計画が含まれており、ビットコインの将来的な価値向上によって、GDP対比で約120%まで膨らんだ国家債務の返済原資を確保する狙いがある。
国によるビットコイン準備金の導入は、トランプ次期米大統領が選挙活動でその可能性に言及したことで、一気に実現期待が高まった。米国の動きを見て、カナダやブラジルなど他の国でも同様の議論が広がり、ロシアのプーチン大統領は米ドルの代替通貨としてビットコインに言及している。
これらの動きを見ると、国が金に並ぶ「デジタルゴールド」としてビットコインを保有し始めるのは時間の問題のように思える。実際、トランプ次期大統領の任期中に米国がビットコイン準備金の導入を決定すれば、ビットコインの価格はさらに上昇するだろう。
しかし、企業や機関投資家、さらには国といった大口保有者が参入することで、それらの大規模な資産を管理するカストディリスクが高まる点も懸念される。特に米国では、コインベースがビットコイン現物ETFの大半でカストディアンを務めており、資産の集中化が進んでいることが問題視されている。
ビットコイン準備金については、相場のポジティブな面ばかりが注目されているが、それによって将来的に国の資産が流出するリスクを抱えるということも認識すべき課題である。米国が流出対策をリードしていくことが、国によるビットコイン保有を広げるカギとなりそうだ。