米国製技術を使用した外国製品に対して、中国への輸出時に米政府の許可が必要になる「外国直接産品ルール(Foreign Direct Product Rule、FDPR)」の対象も拡大した。英ロイター通信によると、韓国、台湾、イスラエル、マレーシア、シンガポールなどで製造された装置はこのルールの対象となるが、独自の対中規制を設ける日本やオランダなどは除外される。
中国企業、規制発表を前に在庫拡充
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、この最新規制は、中国の半導体産業発展に対する意欲をそぐ可能性がある。しかし、ファーウェイをはじめとする中国企業が利用できる抜け穴が残されているとも指摘されている。
米戦略国際問題研究所ワドワニAIセンターのグレゴリー・アレン所長は、「特定の旧バージョンのHBMは中国企業が引き続き入手できる可能性があり、ファーウェイと関係を持つ全ての半導体製造企業がエンティティーリストに含まれているわけではない」と指摘する。
事情に詳しい関係者によると、規制の草案の大部分は24年半ばまでに作成されており、その概要は多くの業界関係者が知っていた。その後、同盟国や製造装置メーカーとの交渉に時間がかかり、発表が遅れた。その期間、中国企業には十分に製品・装置を備蓄・調達できる機会が与えられた。
これに先立つ24年8月、ロイター通信は、中国のIT(情報技術)大手やスタートアップが、サムスン電子からHBMを大量に買い込んでいると報じていた。
米半導体製造装置のアプライドマテリアルズが先ごろ開示した業績結果によると、24年10月末までの1年間の中国からの売上高は、前年比40%増加し、101億1700万ドル(約1兆5200億円)に達した。この金額は全売上高の37%を占めた。