2023年の「今年の漢字」は「税」だった(写真:共同通信社)

(立川 談慶:落語家、著述家、筋トレ愛好家)

>>写真で振り返る「振」の1年

 今年も残りあと1カ月を切りました。

 まさに師走、駆け巡るほどの忙しい最中ではありますが、しばし落ち着いてこの1年をかえりみるにあたり、毎年恒例の「今年の漢字」を勝手に予想してみようかという心算です。

今年の漢字」とは、日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字1文字を一般から募集し、最も多かった漢字を「今年の漢字」として選出するというもの。今年の発表は12月12日で、すでに応募は締め切られていますが、落語家なりに私も考えてみました。

 ズバリ、私が今年を象徴する漢字として選んだのは「振」であります(実際にこれで応募しました)。

 今年は「辰(たつ)年」にあたり、辰に「手ヘン」を付けた「振」で、今年の出来事を斬ってみましょう。

 まずは、元日に発生した能登半島沖地震であります。

元日に能登半島沖で発生した地震は大きな被害をもたらした(写真:共同通信社)

 年明けから最大震度7の大地震がもたらした未曾有の災害に日本中が心を痛めました。地震はまさに「地盤の振れ」そのもの。地震大国の怖さを痛感しました。いまも復興・復旧にご尽力されていらっしゃる被災者の方々も少なくありません。心より、お見舞い申し上げます。

 政治も1年を通じて「振れ振れ(ブレブレ)」でした。1月から政治資金をめぐる問題で安倍派の議員が逮捕され、その後も「政治とカネ」は世間を騒がせ続けました。

ブレブレだった石破首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 夏に岸田首相が退陣を表明し、代わりに石破さんが首相に登板。起死回生を狙って10月27日に解散総選挙を実施したものの、「政治とカネ」問題とSNSの威力に振り回され、与党は大敗。自民党総裁選で主張していたことを次から次へとひっくり返した石破首相のブレブレぶりも国民の怒りを買いました。

 今年、自民党は国民から「振られた」とも言えましょう。

失職し再選を果たし、再び公選法違反の疑惑で窮地に(写真:アフロ)

 最近では、兵庫県知事の出直し選挙で、斎藤元彦氏が当選しました。パワハラ疑惑による失職からの返り咲き、そしてPR会社との関係で公職選挙法違反が疑われるという、なんとも騒動の「振幅」が大きい斎藤知事であります。

日経平均は一時4万2000円台に乗ったが、その後急落(写真:つのだよしお/アフロ)

 株価も大きく振れました。2月に日経平均株価がバブル景気の1989年12月に記録した史上最高値を振り切って更新し、その後も上昇を続けましたが、7月末の日銀の利上げをきっかけに大暴落。今年始まった新NISAで資産運用を始めた投資初心者の中には、心がいまも振れ続けている方もいるかもしれません。

 今年の漢字が「振」であるべき理由は、まだまだあります。