なぜ今、韓国で戒厳令?

 今回の戒厳令は、与党の関係者どころか、韓国軍の参謀たちに対しても、事前に知らされていなかった。同盟国であるアメリカのホワイトハウスへも何ら打診がなかったという。そうした状況から、誰も予想できなかったという報道が続々と上がっている。

国会は戒厳令解除要求を全会一致で可決。写真中央は与党・国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 戒厳令とはいえ、軍隊投入の規模は数十人規模でしかなく、国会を封鎖することもなかった。結果的に一夜のショーのように終わった。これについて、TV朝鮮の報道番組に出演した高麗大学法学専門大学院のジャン・ヨンス教授は「(尹大統領は)政治経験のないアマチュアだからなのか」と困惑を隠さなかった。

尹大統領に“標的”にされたとされる、最大野党・共に民主党の李在明代表(写真:AP/アフロ)

 とはいえ、最大野党である共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が標的にされたとの見方も浮上している。投入された軍隊が代表室に乱入する様子がCCTVにより確認されており、李代表を逮捕、拘束しようとしていたという主張が共に民主党からなされている。

【関連記事】
「日本はまず謝罪を」の李在明が次期大統領なら日韓関係は最悪に

 これまでアメリカとの関係を重視してきた尹大統領にとって、国内で対立する野党は従北勢力として映る。従って、今回の戒厳令宣布は李代表の排除が目的だったというわけだ。