中国系新興ECサービスとは、ネット通販「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」を展開するPDDホールディングスが手がける越境EC「Temu(テム)」と、アパレル越境ECを手がける「SHEIN(シーイン)」である。
Temuは2022年秋に米国でサービスを始めた。米調査会社のセンサータワーによると、Temuは若年層を中心に利用者が増え、月間アクティブユーザー数が24年1月に5140万人へと増加した。SHEINの月間アクティブユーザー数は同じ期間に、2090万人から2600万人へと増えた。
こうした中、米メディアは24年夏ごろから、アマゾンがTemuやSHEINのような格安商品に特化したオンライン・ストアフロントの立ち上げを計画していると報じていた。
TemuとSHEINが活用の関税免除措置を見直し
アマゾンはAmazon HaulでTemuとSHEINの2社に対抗していくことになる。しかし、今後、中国からの輸入は高コストになる可能性がある。
バイデン米政権は24年9月、小口貨物向けの関税免除措置(デミニミス・ルール、De minimis rule)を見直すと明らかにした。米国には800ドル(約12万円)以下の小口貨物には関税が課されず、税関検査なしで輸入できるという特例制度がある。TemuとSHEINはこの措置を活用して、関税や手続きにかかるコストを回避している。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、アマゾンの一部の出品者もこの特例措置を利用している。
今後、これらECプラットフォームで販売される商品の一部に関税が課される可能性がある。トランプ次期米大統領は、輸入品に対する関税引き上げを公約に掲げており、中国からの製品に一律60%の関税を課すとしている。欧州連合(EU)の欧州委員会もTemuやSHEINなどの中国発ECを通じて購入した商品に関税をかけることを検討している。
TemuとSHEINのビジネスモデルが成り立たなくなる可能性が出てきた。そうなればアマゾンが立ち上げた格安ECの事業モデルにも影響が及ぶことになる。