「月経警察」や「罰金」の噂が広がる
中国のセルフメディア徳潤傳媒が、とある女性の訴えを海外のSNSに転載したことから、この噂が広がった。「中国政府が三人っ子政策を実施するために、『月経警察』に似たようなものを設置し、出産適齢期の女性の管理コントロールを強化しようとしている」というのだ。
中国のSNS上で、社区(コミュニティ)の党委員会や街道弁公室から電話で、毎月月経が来ているのかという尋問の電話を受けておりストレスだといった投稿が出始め、それに呼応するように「私も同様の経験をしている」「鎮政府に呼び出されて月経について質問された」「パンツまで下ろされて月経を確かめられた」「早く子供を産むように暗にプレッシャーをかけられた」などと言った声が上がっている。
また、 中国のネット上では最近、中国の国家衛生当局が20歳から34歳までの出産可能年齢の女性が年間340万人減少していることに危機感を持って、「思い切った厳しい措置をとる」という噂が流れている。
その噂とは、妊娠適齢期で結婚も出産もしない女性に対し5万元から10万元の罰金を科す、というものだ。この噂が単なるデマであれば幸いだ。だが、今の地方政府の厳しい財政状況で、もし報奨金によって出産を奨励する政策をとるならば、その原資をどうやって調達するかが疑われている。
米ハーバード大学社会学名誉教授のマーティン・ホワイトはラジオフリーアジアに対して、「習近平が女性に多く子供を産むように呼び掛けていることについて、中国社会はひそかに嘲笑している。若者と女性たちは習近平の考え方が完全にでたらめで非現実的だと考えている。習近平は一体何をやりたいのか? 中国の暮らしや社会は子供を3人産み育てるのに適してはいない」と指摘している。
また欧州対外関係委員会の政策研究員のアリシア・バキュルスカも最近、ドイツの「中国知識分子の弁論による中国理解」という番組で、「中国政府が中産階級の都市女性に対して子供をより多く産むよう説得しようとしているが、中国における映画や書籍をみれば、本当の女性の意見が政府の期待とは大きく異なっていることがわかる」と指摘。おそらく中国女性たちは当局が実施するこうした政策に対して非協力的で、習近平の新婚育政策が最終的には失敗に終わると予測していた。
中国政府が、出産子育て支援に資金を投入すること自体は、中国社会にとって有益であろう。だが、それだけでは影響は短期的なもので、出生率の低下に歯止めをかけて人口ピラミッドを逆転させるような大きな影響力はない、というのが専門家の大方の意見だ。
今の中国の出生率の根本原因は若者が普遍的に子供を産みたくないからで、これは中国だけでなく世界の先進国に共通した傾向だ。