中国共産党が頼りかねない「伝統的手法」とは

 中国の場合、若者が子供を産みたくない原因の一つは、もちろん経済的理由が大きい。だが、中国の専制政治による管理強化、監視社会の息苦しさに絶望しているからだともいえる。

 特に新型コロナ蔓延時の強制ロックダウンによる強引な隔離政策や移動規制は中国共産党専制政治の本質を中国人民にいやというほど思い知らせた。これが「躺平」という「なにもしない」という無気力の態度を若者に蔓延させた。

 一部若者たちのネット上の声をみると、「中国共産党が支配する絶望的な国を繁栄させるために子供を産みたくない」「自分のような搾取だけされる不幸な人間をこれ以上増やしたくない」といった本音を知ることができる。

 こうした若者に子供を産ませるには、結局、中国共産党は「伝統的な手法」に回帰する。習近平が号令のなかでいう「伝統的手法」がどういう意味で使われているのか、解釈は難しいが、少なからぬ人たちは、プロパガンダと監視統制による「強制」だとみている。

 あるいは、一人っ子政策のときのような罰則、罰金を主体とした強制的な方法をとるのではないか、という予測が出てくるのだ。

 ネット上では、今回の政策について、そのうち、コンドームや避妊用ピルの使用禁止、堕胎禁止や強姦の合法化などが進められるのではないか、と揶揄する声もある。