他にも李氏を司法リスクのどん底に突き落とした本丸である大庄洞、柏峴洞などの開発不正事件に対する背任、賄賂授受裁判も起訴から1年が過ぎ、1審宣告期限が近づいている。

様々な工作を弄してきたが…

 この間、李氏と民主党は裁判遅延のためにあらゆる手段を動員してきた。

 多すぎる証人を要請して裁判を引き延ばしたかと思えば、裁判準備期限を過大に要求することで裁判開始まで長い時間がかけたりもした。日本の福島第一原発の処理水の放流を口実に、突如、断食闘争に突入し、健康状態を理由に裁判延期を図った事実もあった。

昨年9月、ハンストの末に担ぎ込まれた病院のベッドに、やつれた姿で横たわる李在明氏(写真:AP/アフロ)
拡大画像表示

 これらはすべて、尹錫悦政権が終わるまで4つの裁判の最高裁の判決が出ないようにし、次期大統領選挙に出馬するための手だった。

 現政権に対する韓国国民の低い支持率を見ると、次期大統領は野党候補が当選する可能性が高く、共に民主党をはじめとする進歩系では李氏を次期大統領に当選させるというシナリオが働いている。それに、セックススキャンダル疑惑などで裁判中のトランプ米国大統領の当選が、李氏や進歩系に勇気を与えたのだろう。

 ただ、尹大統領の任期はやっと折り返し点を回ったところで、まだ2年半も残っている。民主党と李在明氏がいくら裁判遅延戦略を立てても、4つの裁判のうち、少なくとも1つ以上は尹大統領の任期中に最終判決が出る可能性が高い。それなら、尹大統領を引きずり下ろして早期に大統領選挙をおこなわなければならない。これが、国会外へ飛び出した民主党やろうそくデモ隊の思惑なのだが、国民世論を得るまではまだまだ時間がかかりそうだ。