2.火砲大量損失を空爆増加で賄うロシア軍

 ロシア空爆回数の増加は、地上作戦の必要性に応じて実施してきたと考えられるが、このほかにも別の要因がある。

 それは、ロシアの火砲(榴弾砲・迫撃砲・多連装砲)の損失が多いことと関係がある。月ごとの火砲の損失数の推移を見ると、空爆の推移とほぼ重なるのである。

 ロシア火砲の損失は、侵攻開始からの約1年間は、月平均約200門であった。

 その翌年の5月から急増し、月平均800門であり、侵攻開始から1年間の約4倍に増加した。

 その後も再び増加し2024年の8月には1600門を超えた。

 2024年2月から10月までの月平均が約1200門であり、侵攻後1年間の月平均回数の6倍に達している。

グラフ2 ロシア軍火砲の損失の推移

 空爆回数の増加傾向は、火砲の損失の傾向と類似している。

 ということは、本来は火砲による砲撃で地上部隊を支援すべきところを、それができなくなり空爆でカバーするようになったということだ。