早貴被告から離婚を切り出した?
野崎氏が早貴被告との離婚をどれほど真剣に考えていたかも裁判のポイントとなっている。検察側は冒頭陳述で「完全犯罪で莫大(ばくだい)な遺産を得ようとした」と指摘し、野崎氏から離婚され得る状況だったことが動機の形成につながったとしている。
これに沿うように、野崎氏が経営するアプリコの元従業員たちは「結婚後間もなく社長は被告の態度に不満を示し、『離婚する』と漏らすようになった」と口をそろえている。
ところがこの点について早貴被告の話はまったく主客が反対なのだ。
早貴被告は、こう述べた。2018年5月上旬、田辺市で同居するよう迫る野崎さんに、「一緒に住まない約束を守れないなら、もう結婚生活を続けられません。離婚します」と電話で告げたところ、「帰ってきてください」と野崎氏から頼まれたというのだ。
この証言についてマコやんが言う。
「いやいや、それは違う。18年のゴールデンウィークに北海道に帰省すると言っていた早貴被告がなかなか田辺に帰ってこないので、社長が激怒して『離婚する』と言ったのが本当です。それで彼女はGW最中だった5月3日に慌てて田辺に帰ってきたんです。彼女の話は真逆ですし、そもそも『一緒に住まない』などという条件が無いのですから……」
証人として出廷した前妻Cさんは法廷で「おはよう、おやすみの感覚で『離婚したい』という人だった」として、「話がコロコロ変わるのでコロちゃんと呼んでいた」と振り返っていたことは以前お伝えした。
早貴被告は、これについてもこう話した。
「コロちゃんまんまだなと。それが社長の習性というか、性格なんだなと思いました」「(証人尋問では)従業員が口をそろえて私が社長に冷たかったみたいなことを言っていますが、全然そんなことはありません」