本当に覚醒剤が欲しいならいくらでも自分で調達できたはず
野崎氏の死因は急性覚醒剤中毒で、これまでの証人尋問や証拠調べで焦点の一つとなったのは、被告と覚醒剤との接点だった。今年10月1日に証人として出廷した薬物の密売人Yは、18年4月上旬に「覚醒剤入りの封筒を被告に渡し、十数万円を受け取った」と証言。11月7日に証人として出廷したこの密売人の仲間のXは「渡した中身は覚醒剤ではなく、偽物の氷砂糖」と一部を打ち消したものの、被告が密売人に接触を図ったのは認めた。
これについて早貴被告がどのような説明をするのかも注目されたポイントだった。
「社長(野崎さん)が性行為ができなかったので『覚醒剤を買ってきてくれないか』と頼まれ、20万円を受け取った。真に受けずに放置していると催促されたため、密売サイトで注文した。社長に渡すと感謝していたが、渡した翌日に『使い物にならん。偽物や。もうお前には頼まん』と言われました」(早貴被告)
一方でこれまでの証人尋問では野崎さんが経営していた会社の元従業員や、被告の前に野崎さんと婚姻関係にあった女性らが出廷し、いずれも野崎さんに覚醒剤を使用する様子はなかったと断言しており、証言が分かれる形となっている。
このことについてマコやんは、次のように疑問を呈する。
「なぜ社長が早貴さんに覚醒剤を買ってくれと頼まなければいけないのか? まずこれが大きな疑問です。
入籍したての彼女には和歌山や大阪にも知人はいないし、人脈もない。それに対し社長は彼女に頼まなくても長年貸金業をしていたので、ウラの世界の人物も知っています。もしも本当に覚醒剤が欲しいのなら自分で調達できたはずです。
しかし、社長は覚醒剤のことを本当に嫌っていましたから、彼女に調達を頼んだというのはちょっと信じがたい。なにより、バイアグラも使わなくて勃起すると周囲に明かしていましたから、性行為目的で覚醒剤が必要になるとも思えません。
早貴さんは、『買った覚醒剤を社長に渡すと感謝されたが、翌日に『使い物にならんかった。偽物や。もうお前には頼まん』と言われた、と証言していましたが、要は自分が売人と接触したことを否定することは防犯カメラの映像が残っているので不可能ですから、窮余の策として『社長から頼まれた』という話を創作したのではないかと思えてならないのです」