野崎氏の死の前後、なぜ1階と2階を何度も行き来したのか
野崎氏が死亡した5月24日の動静について、検察側は冒頭陳述で、野崎氏が覚醒剤を摂取したのは午後4時50分~午後8時ごろで、早貴被告のスマホの健康管理アプリにはこの間に8回、野崎さんの遺体が見つかった2階へ上がった記録があったと指摘している。
早貴被告はこう説明した。
「バスローブを探しに2階へ行ったことはある。日常茶飯事なので覚えていないです」
あくまでも「普通の1日」だったとする被告であるが、この晩のことについてはマコやんと吉田氏は何度も彼女や野崎氏の行動について聞いているのであるから「覚えていない」なんていうことはありえないという。
「何度も彼女から事件後に事情を聞いたので、『覚えていない』発言には『え?』と思いました。それにバスローブうんぬんは今回初めて聞きました。
彼女もまさか自分のスマホの健康アプリに移動の記録が残っていたとは思っていなかったのではないでしょうか。無理やり整合性をとるために『覚えていない』『バスローブが』などと発言したのかも知れません」
野崎氏に異変があったときの状況に話を戻そう。午後8時過ぎにお手伝いさんの木下さんが帰宅して以降も、早貴被告は1階でテレビを見るなどしていた。その後の行動については、彼女は「午後10時過ぎに充電器をとりに2階へ上がり、野崎さんの異変に気付いた」と法廷で説明した。
これについてはマコやんが異議を唱える。
「これも初めて聞きました。テレビ番組が終わって寝るために2階にあがったと何度も聞いています。なんで充電器を取りにいかなあかんのかな?」(マコやん)
早貴被告はこうも語った。
「社長がソファーに横たわっていたので1階に降りて家政婦さんを呼んだ。家政婦さんが『救急車を呼んで』というので、1階にスマホを取りに行って、2階に戻って119番した」
感情の抑揚もなく、淡々と当日の様子を振り返った被告。弁護側の質問の途中だが時間の都合もあり、この日は閉廷した。
検察の見立てを否定するような証言を次々と繰り出す早貴被告。その言葉は説得量を持って裁判官や裁判員に響いているのだろうか。