頼れる男・藤原行成はいかに一条天皇を説き伏せるか
無事に彰子と一条天皇の間に皇子が生まれたとなれば、道長にとっての次のステップは「孫を皇太子にすること」である。
寛弘8(1011)年5月21日に一条天皇が病に倒れると、道長はいち早く動いている。もし一条天皇が退位すれば、次は一条天皇の年上の従兄弟で、皇太子でもある居貞(いやさだ)親王が天皇になるのは既定路線だ。そのタイミングで、皇太子の座に孫の敦成親王を据えようと道長は目論んだ。
まずは、一条天皇になるべく早く退位してもらう必要があるため、道長は芝居を打っている。病床に伏す一条天皇の隣で、僧とともに易占いの結果を見て泣きながら、「ご病気が重いために崩御するだろう」と本人に聞こえるように言ったという。
古典的な手法だが、うまくいったらしい。道長の思惑通り、それを聞いた一条天皇は、ますます病を重くして、譲位を決意する。ところが、一条天皇としては定子との間に生まれた敦康(あつやす)親王を皇太子にしたかったようだ。
そこで蔵人頭の藤原行成(ゆきなり)が天皇を説得することになる。いかにして、道長の孫である敦成親王を皇太子にすることを一条天皇に決断させるのか。ドラマでは、渡辺大知演じる行成の必死の弁舌を見ることができそうだ。