復讐に燃える道長の「もう一人の妻」

 道長は倫子と結婚してすぐに、源明子を二番目の妻として迎えている。ドラマでは、明子が実は藤原一族に恨みを抱いていることが明らかになった。安和2(969)年、藤原氏による排斥によって、源高明が失脚する「安和の変」が起きている。今や藤原氏のトップとなった兼家のことが許せない、ということのようだ。

 ドラマでは、父の無念を晴らすために兼家に復讐するべく、持ちかけられた道長との婚姻話をあえて受け入れた源明子。兼家の死にも絡んでくるのだろうか。

 次回「進むべき道」では、4年の月日が経過。藤原兼家の長男である道隆の娘・定子が、元服してわずか20日後の一条天皇へと嫁ぐことになる。宮中では兼家の後継者争いが激化。まひろは父が失職する中で、どう生きていくかを模索する。

【参考文献】
『新潮日本古典集成〈新装版〉紫式部日記 紫式部集』(山本利達校注、新潮社)
『現代語訳 小右記』(倉本一宏編、吉川弘文館)
『紫式部』(今井源衛著、吉川弘文館)
『紫式部と藤原道長』(倉本一宏著、講談社現代新書)
『敗者たちの平安王朝』(倉本一宏著、KADOKAWA)
『偉人名言迷言事典』(真山知幸著、笠間書院)

【真山知幸(まやま・ともゆき)】
著述家、偉人研究家。1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年より独立。偉人や名言の研究を行い、『偉人名言迷言事典』『泣ける日本史』『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたか?』など著作50冊以上。『ざんねんな偉人伝』『ざんねんな歴史人物』は計20万部を突破しベストセラーとなった。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義、宮崎大学公開講座などでの講師活動も行う。徳川慶喜や渋沢栄一をテーマにした連載で「東洋経済オンラインアワード2021」のニューウェーブ賞を受賞。最新刊は『偉人メシ伝』『あの偉人は、人生の壁をどう乗り越えてきたのか』『日本史の13人の怖いお母さん』『文豪が愛した文豪』『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』『賢者に学ぶ、「心が折れない」生き方』など。