(写真:polkadot_photo/Shutterstock)(写真:polkadot_photo/Shutterstock)

目の病気やケガの中で緊急性のあるものが、網膜動脈閉塞症、緑内障発作、眼外傷(眼球破裂)の3つだ。逆に「重症!」と思いがちだが自然に治るのを待つしかないものもある。眼科医の平松類氏が、具体的な症状例を解説する。(JBpress)

※本稿は『老いた親はなぜ部屋を片付けないのか』(平松類著、日経BP 日本経済新聞出版)より一部抜粋・再編集したものです。

片目が突然見えなくなる

 目の病気というと、「命にはかかわらないし、緊急はない」と思われがちです。まして「夜間にやっている眼科なんてないし、救急外来に行っても眼科の先生はいないでしょう?」とよく言われます。

 しかし、そんなことはありません。都市部であれば夜間も眼科医が病院にいて診察する体制があります。地方であっても、ある程度の人口がある都市であれば、365日24時間、どこかの眼科医が急患に対応できるようになっています。

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 目の異変のために救急に駆け込むケースには、病気もありますし、ケガもあります。こうした目の病気やケガの中でも、特に重要で緊急性があるものが3つあります。その3つとは、「網膜動脈閉塞症」、「緑内障発作」、「眼外傷(がんがいしょう、眼球破裂)」です。

 網膜動脈閉塞症というのは、目の網膜に血液を送る動脈が詰まる病気で、片目が突然見えなくなります(このほか網膜の静脈が詰まる「網膜静脈閉塞症」もある)。例えば「夜の8時32分に右目が見えなくなった」などとはっきり記憶できるほど、突然見えなくなります。

 しかし、もう片方の目が見えるので、とりあえず生活には支障がありません。そして痛みもないのです。こうした血管の閉塞は夜に起きやすいという特徴があります。そのため「いますぐ病院に行くべきか、朝まで待つべきか」と迷う人が多くいらっしゃいます。