「フィロソフィを信じているから、フィロソフィが使える」

 稲盛さんは「フィロソフィを信じているから、フィロソフィが使える」と言い、「人の心とフィロソフィを信じているかどうかで結果は全く違う」とも力説しています。

 それではフィロソフィを信じられるようになるためにはどうしたらいいのでしょうか。稲盛さんは「繰り返し繰り返し学べば、心にしみてくる」と語り、「心で思うことと頭で思うことは違う」「頭から心の中にしみ込んだものだけ使える」と教えています。

 つまり、フィロソフィを心から信じられるようになるためには、繰り返し学ぶことが大事だというのです。そして、「フィロソフィを繰り返し学び、心にしみ込ませれば、人格が変わる。それは運命に反映される」と指摘しています。

 先に述べたように、フィロソフィとは初歩的な道徳律のようなものであり、誰から見ても普遍的に正しい生き方だと稲盛さんは教えています。しかし、人間の心は弱く、それさえ100%は実践できないのが現実です。だからと言って、それで諦めてしまっては人間として、リーダーとして成長できるはずはありません。

 フィロソフィを心から信じられるようになるためには、読書などを通じて人間としてあるべき姿を愚直に学び続けるという地道な自助努力が不可欠になるのです。

 稲盛さん自身、「自分は、誰から見ても正しい生き方はまだ100%できないけれど、それを目指して努力をしていこうとまず思うことが大切だ」と率直に語っています。その努力を重ねる中で、フィロソフィが心にしみてきて、フィロソフィを使えることができるようになるのです。