一般的には、独立リーグ球団は独立採算であり、地域密着型のマーケティングを展開してスポンサードを得てチームを運営しているが、栃木ゴールデンブレーブスの場合は、ビジネスモデルが全く異なる。

主催試合で蓄積したノウハウを他のスポーツイベントで活用

 栃木球団も、地域密着型のマーケティングを行っている。しかしこれは、球団の収益のためであると同時に、スタッフが地域の現場でマーケティングの経験値を高めることも目的にしているのだ。球団の主催試合における観客動員や場内整備などの業務も、社員にとっては他のスポーツビジネスの現場で役立つノウハウを蓄積する場になっているのである。

 こうして栃木球団で経験値を蓄えたスタッフが、他のスポーツイベントに配属され「即戦力」として力を発揮している。

 栃木は、元巨人の村田修一や元メジャーリーガーの西岡剛などの著名なプロ野球選手が在籍したことでも知られる。今も川﨑宗則が選手として在籍している。

元巨人の村田修一(左)も在在籍していた栃木ゴールデンブレーブス(エイジェック提供)
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 こうした選手は、独立リーガーに、一流のプロ選手ならではの練習や試合に臨む姿勢を教えるなど、大きな影響を与えた。同時に、2018年9月9日の村田修一の引退試合では、球団最多の6025人がつめかけ、全国的なニュースになるなど、独立リーグの振興にも大きく貢献した。

「やればできる」で有名なティモンディ高岸宏行もエイジェックグループの栃木ゴールデンブレーブス所属(写真:産経新聞社)
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 さらにエイジェックは、2023年から、少年硬式野球チーム日本一を決定する「エイジェックカップ」を主催している。

 日本の少年硬式野球は、リトルシニアリーグ、ボーイズリーグ、ヤングリーグ、ポニーリーグ、フレッシュリーグと、多くの団体に分かれ、それぞれが大会を行っている。しかしそれを統括する団体は存在せず、同じ中学野球をする仲間ながら、対外試合は限定的で、一体感は全くなかった。

 エイジェックは、中学硬式野球の主要団体に声をかけて「エイジェックカップ中学硬式野球グランドチャンピオンシップ」を創設。第1回大会は2023年8月29日に甲子園球場で決勝大会が行われた。

2022年のエイジェックチャンピオンシップ(筆者撮影)
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