商品は「時代に合わせて変えていかなければいけない」

——「きかんしゃトーマス」の運転が始まった時は、お客さんが殺到しました。私も取材に行ったのですが、千頭駅前に車を止めることができないくらいでした。「この先の川根両国の駅前まで行ってください。そこに駐車場があって、シャトルバスが運転されています」と言われ、これはとんでもないことになったなと思いました。

鳥塚氏:商品というものは、「時代に合わせて変えていかなければいけない」ということではないでしょうか。

 たとえば、硬券切符ってあるじゃないですか。これは蒸気機関車と一緒で、私たちの世代には硬券切符は懐かしいものなのだけれど、今はもう切符自体がないのですから、切符そのものを知らない人だっているかもしれない。

大井川鐵道では「きかんしゃトーマス」に出てくる自動車キャラクターも再現。鉄道との連携で、さらなる集客を図っている ©2024 Gullane (Thomas) Limited.

 駅員さんがハサミで切符を切るって何? ということです。

 今はQRコードを付けるとか、LINEのスタンプがダウンロードできるとか、そういう商品を作っていかなければダメなんです。

——中高年の人たちだけが、昔のまま同じ世界に生き続けている…

鳥塚氏:私たちが子供の頃、「栄養豊富」とか、「栄養満点」という言葉につられて食べ物を買っていたじゃないですか。アイスクリームの乳脂肪分が何パーセントだとか、それが良かった。

 けれども今は、栄養なんかあったらいけない(笑)。「カロリーオフ」と言わないと商品が売れない。それと同じですよ。

 いろいろなメーカーが研究を重ねて、競いあって商品が開発される。鉄道の世界はどうですか?