憤慨した麻酔科学会が出したコメント

 番組では、麻酔薬としてプロポフォールが使われたことについて説明はなかったが、この番組を受けて、日本麻酔科学会が理事長である山蔭道明氏(札幌医科大学麻酔科教授)の名前で声明を発表し、麻酔薬の誤った利用を非難した。

「10月14日配信開始の番組において、プロポフォールが内視鏡クリニックを舞台に使用され、何らかの外科的処置を必要としない人物を意図的に朦朧状態にするという内容が含まれている」
「プロポフォールをはじめとする静脈麻酔薬は、本来、手術や検査時の鎮静を目的に、医師の厳重な管理のもとで使用される」
「薬剤は呼吸抑制のリスクを伴うため、必ず人工呼吸管理が可能な環境で使用される必要」
「マイケル・ジャクソン氏の死亡事故などでも広く知られているように、適切な医療管理が行われない場合、生命に危険を及ぼす可能性」

 声明では、プロポフォールを含む静脈麻酔薬は呼吸抑制のリスクを伴い、必ず人工呼吸管理が可能な環境で使用される必要があると強調している。また、マイケル・ジャクソン氏の死亡事故を引き合いに出し、適切な医療管理が行われない場合の生命への危険性に警鐘を鳴らしている。

 プロポフォールに限らず、注射によって導入される麻酔薬全般について危険性があると指摘している。

 その上で、「このような麻酔薬をいたずらに使用する行為は、極めて不適切であり、断じて容認できるものではありません」とし、麻酔薬の安全な使用への信頼を損なう可能性にも言及している。

 私も獣医師資格を持つジャーナリストとして医療に関する取材をしているが、もしプロポフォールが使用されたのであれば、非常に危険だと感じた。

 なお、番組の医療監修は、外科出身の医師と精神科医の2人がエンドロールに記載されていた。

マイケル・ジャクソン裁判で提示された麻酔薬プロポフォール(写真:Shutterstock/アフロ)マイケル・ジャクソン裁判で提示された麻酔薬プロポフォール(写真:Shutterstock/アフロ)