「今だからベストなタイミングなんです」

 ちょうど同時期に通い始めた学童保育所が、児童福祉施館の中にあった。地域担当の社会福祉士さんの目に留まり、そこでも個人的にケアしてもらえるようになった。

 この子が小学校に入学してからの2年間、筆者は口では大丈夫大丈夫と言いながらも、実は常に不安だった。この子はこのままで大丈夫なのか、どうするのが正解なのか、いつも悩んでいた。

 次男が1年生のときの担任は、長男が5年生のときを知っていた。だから「長男くんのときのような教育熱はどこに行ってしまったんですか」と言われた。長男を6年生の1年間、フィリピン留学に送ったからである。

 それは別に筆者が教育熱心だったわけではない。幼稚園の年中まで日本で育った長男には韓国生活自体が大変だった。思春期にも差し掛かり、親子の葛藤も激しくなって、フィリピンに逃がしたようなものだったのだ。

【当時の葛藤について書いた記事】
韓国人の愛国心と竹島と結びつく瞬間、保育園のお遊戯から歴史の教科書まで(JBpress)

 2年生の時の担任の先生には、筆者が診断書をもって相談に行った時に「もう少し早く決断してくれれば、自分が無理をしてでも教えたのに……」と言われた。

 しかし、できない子、やる気がない子に無理やり勉強をさせるつもりはなかった。子供にはみんな「時」がある。今回は本人が何かのきっかけで「勉強ができないけど、できるようになりたい」と思ったから、親ができることをしようと思ったのである。

 だから2年生の時の担任の先生には「今だからベストなタイミングなんです」と伝え、お礼を言った。