韓国の受験戦争は日本の比ではない。写真は大学修学能力試験の様子(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)韓国の受験戦争は日本の比ではない。写真は大学修学能力試験の様子(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 小学1年生で難読症の疑いが判明した著者の次男。激しい競争を強いられる韓国の学校生活の中で、ストレスフルな日常を送っている長男を目の当たりにしていた著者は、次男については、勉強ができなくても自立できる道を親子で探ろうと模索し始めた。そんな母と子の挑戦記の前編。(立花 志音:在韓ライター)

「ママ、ボクね、引っかからずに本が読めるようになったよ」

 小学校4年生の次男が学校から帰ってくるなり、満面の笑顔を筆者に見せた。次男は文字を読むことと、計算をすることが著しく苦手で、去年から学校と近所の児童福祉館で個人授業を受けている。

 そして、3年生の終わりにやっと文字が読めるようになった。今思い返しても去年の1年間がなければ、今はなかったと思う。

 今回は、難読症(ディスクレシア)と計算障害(ディスカリキュア)の両方の疑いを非常に濃く持つ、次男の奮闘記を2回に分けてお伝えしたい。

 次男は物心つく前から、祖父が好きで我が家にいるより祖父の家にいることを好んだ。75歳を超えた祖父と瓜二つだった。

 親が寝かしつけるよりも、祖父の横で朝まで眠ることを好む不思議な子供だった。週末も祖父と裏山に行ったり、公園に行ったりしてゆっくりとした時間の流れの中で過ごしていた。

 幼稚園の年中になる頃から、文字を読むことや数を数えることにはあまり関心を示さないことが分かったが、友達の名前は記号とか絵のように認識していたようで、なんとなく読んでいたのでこれといって問題視していなかった。

 子供には個人のペースがあり、関心を持ったときに教えてあげれば、文字は自然に覚えるものだと思っていた。なぜならば、長男は親が教えなくても勝手に文字を覚える子供だったからだ。

 読者の皆様にはおなじみかもしれないが、筆者には今年18歳を迎えた長男がいる。幼稚園の年長になると同時に韓国に来た長男だ。