ロシアの政治犯を含む身柄交換は38年ぶり

 ロシアと英国の二重国籍を持つカラムルザ氏はロシアのウクライナ侵攻を公然と批判、「虚偽情報を流布した」として国家反逆罪で禁錮25年を言い渡され、シベリアの刑務所に服役。独房から米紙ワシントン・ポストにコラムを書き続け、今年、ピューリッツァー賞を受賞した。

記者会見するカラムルザ氏(筆者撮影)
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 「ほんの数週間前まで私はシベリアの最高警備刑務所の独房に座らされ、そこから出ることは決してないだろうと確信していた。私がここにいるのは民主主義国の世論がどんな独裁者も封じ込めることのできないほど強いという事実を証明している」とカラムルザ氏は語り始めた。

「ロシア人政治犯が交換の対象となった唯一の理由はこの数年、政治家、ジャーナリスト、市民社会のリーダー、各国の指導者、民主主義国の市民が政府の意見とたまたま異なる意見を持っているだけで麻薬の売人や殺人犯より長く投獄されるのはおかしいと声を上げ続けたからだ」

 ロシアの政治犯を含む身柄交換は38年ぶり。ウクライナ戦争に反対し、プーチンに逮捕されたカラムルザ氏のような「良心の囚人」も解放された。「真の犯罪者はクレムリンに居座る者たちであり、ウクライナに対する侵略戦争を始めた者たちだ」とカラムルザ氏は糾弾する。