偽造パスポートの次に、なりすまし役に必要なのは、海喜館の女将の「印鑑」。17年1月19日、羽毛田は秋葉とともに品川区役所に出向き、偽造パスポートを身分証明書として使い、印鑑の改印手続きを行ったうえで印鑑証明書の交付を受けている。

ウソを見破った中国人社長

 なりすまし役としての準備が整ったところで、地面師グループが最初のターゲットに据えたのは、「中国人の社長」だった。

〈弁護士の事務所で中国人の社長と会ったことがありました。(略)海老澤さんの不動産の買い手という立場でしたが、面談の際には、私のことを海老澤さんのなりすましであることを疑っていました〉

〈(中国人の社長は)自宅で本人確認する必要性が一般的なんですけど、今回何で弁護士事務所でやるんですかね。詐欺とかの案件、詐欺とか事件が多いので、(略)それで、基本、ルールとして本人確認、自宅でやることになってるんですね。と発言しています〉

 結局、中国人の社長は羽毛田の正体を見破り、難を逃れた。

 それから間もなく、あらたなターゲットとして浮上したのが積水ハウスだった。