驚きの“事実”はまだある。18年4月7日、早貴被告は覚せい剤密売サイトに掲載された連絡先に携帯で電話し、少なくとも3グラム以上の覚せい剤を注文(致死量の3倍以上)。そして翌日の4月8日には密売サイトの関係者と会い、10数万円を支払って覚せい剤と思われるものを入手した、と検察は冒頭陳述で明らかにしている。

 この件についても今後の審理で取り上げられるだろうが、もしも覚せい剤を売った当人が証人尋問に登場するようならばその発言内容は注目に値する。検察側は証人尋問に自信を持っているような言い回しであった。

 覚せい剤入手に関して、早貴被告側はどのような反論をするのだろうか。「私は売人とは会っていない」と釈明するかもしれない。ただ、検察側は例えば防犯カメラ映像というような“証拠”を押さえている可能性もある。早貴被告側が下手な釈明をすると検察側の“隠し地雷”を踏む可能性がある。そのあたりの対決は裁判の結果を左右する大きなポイントになるだろう。

「離婚するなら慰謝料は2億円」

 野崎氏と18年2月に入籍した早貴被告は、当初、田辺市ではなく都内で暮らしていたため、これを不満に思った野崎氏から、結婚早々に離婚届を渡され、その用紙をビリビリに破いたことがあった。おそらく、法的に離婚することによってドン・ファンの莫大な遺産を受けとる権利が消滅することを恐れていたのではないだろうか。

 18年4月後半、前出・吉田氏は、GW前に田辺市へ向かい、野崎氏と早貴被告と食事をしながら2人へのインタビューを敢行している。その時のテーマは、なんと「2人の結婚生活はどのくらいもつのか」というもので、その後吉田氏は2人の会話を元にウェブ媒体で記事にしている。

 この時、早貴被告は、

「前の奥さんは2億円の慰謝料を貰ったから、私も(離婚をすれば)そのぐらいは貰うつもり」

 と赤裸々に明かしている。正確に言えば、前夫人は結婚期間中に2億円余りを蓄財していたのであって慰謝料ではない。

 早貴被告のこの言葉に野崎氏は、

「結婚期間などを考慮すればせいぜい350万円ぐらいが裁判で慰謝料となるだろう」

 との見解を喋っている。

 吉田氏が語る。

「検察側の冒頭陳述が事実だとすると、私が2人にインタビューしたときには彼女はすでに覚せい剤を入手しており、あとはどうやってドン・ファンを葬るのかを必死に考えていたことになります。インタビュー自体は冗談を交えた笑いが多いものでしたが、その当時、彼女がそこまで考えていたのだとすると恐ろしさを感じます」