ウクライナの戦争に不満抱える若者に浸透

 1989年にベルリンの壁が崩壊し、翌1990年に東西ドイツは統一されましたが、旧東ドイツ地域は経済が伸び悩みました。人口も東から西への流出が続き、旧東ドイツ地域には旧西ドイツ主導のドイツ政治に不満を募らせていた経緯があります。

 そうした下地に加え、社会主義体制から転換した旧東ドイツの有権者には民主主義をより原則的で純粋に解釈する傾向があるといいます。AfDは大統領選挙をはじめ直接民主制のシステム導入を提唱するなどしており、旧東ドイツ地域の有権者に浸透しました。

 AfDへの支持では、若者も見逃せません。2024年9月1日に行われた2州の議会選挙では18歳から24歳の有権者の30%以上がAfDに投票し、2位以下を大きく引き離してトップでした。前回2019年から目に見えて伸びています。

 地元メディアによれば、5年前に若者にとって最大の関心事は気候変動問題だったのですが、今は欧州の平和に関心を持っています。2022年のロシアによるウクライナ侵攻が影を落としているようです。

 AfDはSNSを駆使して「ウクライナの戦争に巻き込まれてはならない」「(第2次世界大戦で)祖父たちが命を落とした東部戦線に行かされる」などと、若者の不安をあおるような投稿を増やしています。こうした戦略が当たって、若い世代の有権者が次々とAfD支持に傾いたようです。