狭山地方から東京湾北部も要注意

 地震がよく発生しているのは、狭山地方から東京湾北部に延びるルートです。最短で十数年おきにマグニチュード6~7クラスの地震が起きています。

 江戸時代には、慶安地震や安政江戸地震など、マグニチュード7クラスの大地震が発生しました。安政江戸地震では死者約4000人、倒壊家屋約1万戸の被害が出たそうです。

 狭山地方から東京湾北部に延びるルートは地震発生が多い地域であることから、埼玉県と東京都を略して「埼都地震帯」と呼んでいます。首都圏で起きる地震は、多くの人々が生活する都心の真下で起きることから、被害が甚大になる可能性が高いと言わざるを得ません。

 特に被害が大きいと考えられるのは、東京都北岸・千葉県中央部・千葉県東方沖を結ぶルートです。

 1987年に発生した千葉県東方沖地震(マグニチュード6.7)では、死者は2人と少なかったものの、損壊家屋6万3000戸超、崖崩れ385か所、道路の損壊1565か所の被害が出ました。

 戦前では、1931年に西埼玉地震(マグニチュード6.9)が発生しました。揺れが強かった地域では、至るところに地面の亀裂が生じ、液状化による地下水や土砂の噴出、井戸水の濁りなどが起きました。被害は埼玉県内で16人が死亡、負傷者146人、家屋被害は全壊206戸、半壊286戸とする資料もあるようです。