富士火山帯の東縁の伊豆半島近辺も危ない

 伊豆半島近辺も、1923年に関東大震災を引き起こした富士火山帯の東縁に位置するので、要注意な地域です。1978年に伊豆半島近海地震(マグニチュード7.0)が起きています。

 戦前では、1930年に起きた北伊豆地震(マグニチュード7.3)が甚大な被害をもたらしました。震度7の激しい揺れが、掘削中のトンネルを塞いでしまうほどの大地震でした。

 1923年の関東大震災から7年経っても、マグマの勢いは強く、伊豆半島北部では地面が盛り上がり続けていたのです。

 伊豆から相模地域にかけての地震は「震源が浅い」という特徴があります。地下でマグマの勢いが強くなるたびに浅い裂け目ができるからです。

南海トラフM9地震は起きない』(角田史雄・藤和彦著、方丈社)
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 改めて関東地方の危険地域をまとめてみましょう。

 静岡と神奈川の県境(伊豆・相模地域)、神奈川県中部、多摩川沿い、埼都地震帯(南埼玉・東東京・千葉中央)、利根川沿いなどにマグニチュード5クラスの大きな地震が集中しています。

 約30~50年の周期で熱が移送され、富士火山帯の地下を温め、地面を隆起させることで関東地方の地塊が動くと地震が発生します。十数年周期の小規模な地震も同じメカニズムで発生します。

【連載:南海トラフ地震は起きるのか】
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角田 史雄(つのだ ふみお)
1942年群馬県生まれ。埼玉大学名誉教授。 1973年、理学博士号取得。1982年、埼玉大学教養部教授。1995年、埼玉大学工学部教授。2006年、埼玉大学理工学研究科教授。2008年より現職。埼玉県大規模地震被害想定委員、埼玉県環境科学国際センター研究審査委員などを歴任。 主な著書に『地震の癖 いつどこで起こって、どこを通るのか?』『首都圏大震災 その予測と減災』(以上、講談社+α新書)などがあるほか、藤和彦との共著に『次の「震度7」はどこか! 熊本地震の真相は「熱移送」』(PHP 研究所)、『徹底図解 メガ地震がやってくる! 』(ビジネス社)がある。