「政治団体を数多く持つ議員ほどやばいカネの使い方をしている」

上脇:そうです。茂木幹事長の一件は今年報じられましたが(※)、透明度が高い国会議員関係政治団体から透明度の低い「その他の政治団体」にカネを移すと、使途について明細を書かなくて済むのです。私が調べていくと、名目上の代表者は違う人になっていますが、カネを移す前の団体と移した後の団体の事務所が同じということがしばしばあります。

※茂木敏充幹事長の関係政治団体から、住所と連絡先、会計責任者が同じ別の政治団体に、2009年から22年の間に、合計4億4590万円の政治資金が移されていたと報じられた。

 よく「法律を勘違いしていました」なんて言い訳をする議員がいますが、嘘です。法律を熟知しており、法律の網目をくぐって都合よくカネを運用しています。

──「財布を1つにしろ」という批判もありました。この辺りは、今回の政治資金規正法の改正で何か変わりましたか?

上脇:国会議員関係政治団体から1000万円以上の寄附を受けた政治団体は、国会議員関係政治団体と見なされるようになりました。透明度の低いほうにカネを移すことを防ごうとした、というように見えます。

 ただ、わずかでも1000万円未満であれば、受け取った側は今まで通り「その他の政治団体」のままでいられるということです。政治団体はたくさん作ることができますから、たくさん作っておけば、それぞれ1000万円未満でカネを分けてプールしておくことができます

 そういった操作をしない議員は、1つの国会議員関係政治団体だけを持てばいい。裏を返すと、たくさん政治団体を持つ議員は、書きたくない使途がたくさんある。やばいカネの使い方をしたいということです。

──今回の岸田政権の裏金問題では、東京地検特捜部の捜査の進め方にも注目が集まりました。

上脇:検察の捜査を見ていて、いくつか感じたことがあります。まず、今回の岸田政権で起きた政治とカネの問題では、特捜部の見立てと私の見立てが異なりました。