2.情報収集機は何を調べていたのか

 防衛省の発表によると、「午前10時40分頃に旋回開始、11時29分から31分頃領空侵犯、その後も旋回継続、午後1時15分頃、大陸方面(中国)へ向け飛行した」という。

 この間約1時間半、この情報収集機は何をしていたのか。

図 Y-9情報収集機の飛行経路

出典:統合幕僚監部(2024年8月26日)発表の写真に筆者が解説を加えたもの

 この情報収集機Y-9のYとは輸送機を意味し、9は9型で8型の後継機ということである。

 その機にシギント(電波情報)とエリント(通信電子情報)を収集できるアンテナと受信装置を付けたものある(写真1参照)。

 シギントは、例えば、部隊と部隊、機と地上局などが交信する情報を収集するものである。

 そのことにより、交信内容そのものや交信している部隊の種類・規模・名称が判明する。

 エリントは、レーダーが放出する通信電子情報を収集するもので、レーダーの種類とそれを装備する兵器(軍艦の種類・軍用機の種類)が判明する。