破格の低価格は「人件費のおかげ」ではない

 シーインに商品を供給している工場の労働者は一般的に、仕上げる衣類の枚数によって月間7000~1万2000元の給料を稼いでいる。

 対照的に、同じ地域の他のブルーカラー労働者の平均賃金は5500~6500元だ。

 衣類が安い理由の一端は、そう、ただ安いからだ。

 ある工場長は恐らくは米国か英国に出荷されるゆったりしたドレスを取り出し、こんなに質が低い洋服は目の肥えた中国人の顧客層には絶対に売らないと冗談を言った。

 工場長によると、シーインの注文には中国アリババ集団の「淘宝網(タオバオ)」向けより安い生地を使っている。タオバオは生産コストを賄うために多くの資金を工場に与えているためだ。

 シーインは中国国内の倉庫から西側諸国の買い物客に商品を直接出荷することによって、高コストな中間業者も排除した。

 この事業モデルには、出荷する小包の大多数が輸入関税を回避する追加的な恩恵も伴う。