小型買収提案が相次ぐ土壌が整った?

 M&Aに携わる弁護士や投資銀行家、PEファンドの幹部らが最近示した予測によれば、こうした要因がすべて重なったことにより、小型の一方的買収提案による小手調べが行われる環境が整った公算が大きい。

 そうした提案の波がまだ訪れず、ACTはもう待てないと判断したようだ。

 もしACTが完全買収を目指して手続きを始めたら、日本にとっては非常に重要な案件となる。

 日本人の生活にあれほど深く入り込んだ企業を買収しようというのだから、多方面から間断なく詮索されることは確実だ。

 セブン&アイも、もしACTのアプローチを拒むのであれば、企業価値評価を高めつつ、自分たちは主に株主利益のために存在するのだと決意することによって、買収の手から会社を守らねばならなくなるかもしれない。

機関投資家と経産省が迫られる判断

 日本の機関投資家は、買収対象になった企業の株式を最も高い提案価格で売る受託者責任があるのかどうか、世間はどう考えているのかを調べて判断しなければならない。

 また、一方的な買収提案の登場に刺激を受け、活発な国内M&A市場になると考えたメカニズムを立ち上げた経済産業省は今、このメカニズムが主に外国の買い手に――日本のトップ企業を欲しがっている外国人に――利用されることを許容すべきか否か、態度を決める必要がある。

By Leo Lewis
 
© The Financial Times Limited 2024. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.