WindowsのAI PCの出荷台数2.3倍

 一方、マイクロソフトは24年5月にWindowsパソコンの新カテゴリー「Copilot+ PC」を発表し、その第1弾製品群をPC各社が発売した。それらはSoCに、英アーム(Arm)のアーキテクチャーに基づく米クアルコム製「Snapdragon X」シリーズを採用している。

 カナリスによれば、24年4~6月のWindows市場では、これらAI PCの出荷台数が前四半期比で約2.3倍(127%増)になった。AI PCがパソコンメーカーにもたらすメリットは、高価格帯製品の成長促進だとカナリスのプリンシパルアナリストであるイシャン・ダット氏は指摘する。

 「24年4~6月における、800米ドル(約12万円)を超えるWindows PCの出荷台数は前四半期比で9%増加した。一方、この価格帯におけるWindows AI PCの出荷台数は126%増加した」(同)

 メーカー別に見ると、世界最大手のレノボ・グループのAI PCは前四半期から3.3倍(228%増)になった。同社のパソコン出荷台数に占めるAI PCの比率は6%だった。

 米HPや米デル・テクノロジーズも様々な製品ラインアップでCopilot+ PCを発売した。24年4~6月の両社のパソコン出荷台数に占めるAI PCの比率は、それぞれ約8%と7%弱だった。

AI PC出荷台数、25年に1億台に

 カナリスによれば、主要プロセッサーメーカーのAI PCロードマップは計画通りに進んでいる。このことから24年後半以降は、デバイスの供給量とエンドユーザーによる導入が大幅に増加するという。

 カナリスのダット氏は「(AI PCは)すでに堅固な基盤が築かれており、24年後半の出荷台数はさらに勢いを増す」と述べた。

 カナリスが販売チャネルを対象に行った調査では、約60%が「顧客はCopilotキー付き端末を求めるだろう」と回答した。Copilotキーは、生成AI支援機能を起動するキーで、Copilot+ PCのキーボードに備わる。

 カナリスによると、AI PC市場の販売実績はこれまでのところ順調に推移している。その出荷台数は、24年に約4400万台、25年に約1億300万台へと増加するとカナリスは予測する。