献金を受けたトップ100中98人が共和党員

 世界で銃乱射事件が頻発しているのは報じられる通りで、米国でも社会問題です。

「多くの州では、18歳になればたった数万円もあれば銃が買えてしまう。この現状が銃犯罪を引き起こしているから法律で規制すべきだ」

 頻繁に起こる銃規制派の全国デモでは、学校での事件も多いことから「子どもの命を守れ!」との声が大きくなっています。「今は優れたセキュリティシステムもあるのだから、防犯対策はテクノロジーに任せよう」という考えです。

 一方、銃規制反対派にもれっきとした根拠があり、それは憲法修正第2条で明文で認められている「武器を保有し携行する権利」。

「リスクを取ってヨーロッパを出て米国を建国したのは、自己責任の自由な国をつくるためだ。

 自分の家に強盗が入ってきたらどうする? 自分の身は自分で守る権利がある。銃は米国人のアイデンティティだ!」

 確かにアメリカは広大な領土で、西部開拓時代も現在も不審者が侵入してきたら自衛せざるを得ない“ポツンと一軒家”が存在しています。

 全米ライフル協会は米国で有数の政治力を持つ非営利団体で、「全米最強のロビー団体」と言われます。一説によれば会員数500万人。日本にいるとあまりピンときませんが、過激な自然環境保護で有名なグリーンピースよりも大きな組織です。

「銃を持つのは米国人の権利」と主張する人は多く、彼らは発言力の強い兵器製造会社や退役軍人の組織とも重なります。そうした人々から集めた莫大なマネーを、全米ライフル協会は政治献金してきました。

 連邦議会議員のうち同協会から献金を受けたトップ100中98人が共和党員という調査もありますから、両者の関係は「ズブズブ」などと下品なことは申しませんが、「すごく深い」とわかるというもの。オバマと戦ったロムニー、トランプ前大統領も全米ライフル協会と近しい政治家です。

 ちなみに、伝統的に共和党が強いフロリダ州は銃規制がゆるく、民主党支持者が多いカリフォルニア州は銃規制に厳しいのも、全米ライフル協会が共和党を通じて政治を動かしている表れとも言えます。

 全米ライフル協会自体は、近年財政破綻や移転問題と弱体化が指摘されていますが、仮にこの組織が消えたとしても、銃規制反対派のロビー活動が米国から消えることはおそらくないでしょう。