パワハラを認めない人を翻意させること自体が難しいワケ

 パワハラに該当する行為があったにもかかわらず、それを告発されても認めない加害者についても4つに分類できます。パワハラ自覚の有無を縦軸、優先している立ち位置の違いを横軸にとると、別掲の表のようになります。

 タイプ1は、加害者側も自覚してはいるものの、社会的立場を保持しようとする気持ちにとらわれているためパワハラだとは認めようとしない「シラきり」型です。パワハラを認めれば自身の評価が下がることはあっても上がることはないと考え、どんな激しい追及を受けたとしても、のらりくらりとかわして積極的に検証することはありません。

 タイプ2は、パワハラを自覚してはいるものの、怒りや恨みといった個人的感情が先立って認める気がサラサラない「居直り」型です。被害者にダメージを与えたいという攻撃的な思いを抱えていて、むしろ相手の方が悪いくらいに思っている節があります。

 タイプ3は、パワハラを自覚していないので告発されても受け入れられないばかりか、社会的立場を考えるとパワハラを認めるわけにはいかない「歪んだプライド」型です。「自分は上司なのだから弱い姿を見せてはならない」とか「認めたら降格される」など、メンツやプライドが邪魔してしまいます。

 最後のタイプ4はパワハラを自覚していない上、被害者に良い感情を抱いていないため認めたくない「駄々っ子」型です。「なんで自分がこんな目にあうのか」と、逆に自分の方が不当に告発された被害者だと思っている加害者もいます。

 これら、どのタイプであってもパワハラを認めさせるのは困難です。

「シラきり」型の加害者は、告発されても意地になってかわし続けます。「居直り」型は反省する気がサラサラないので、むしろパワハラを告発した被害者をさらに攻撃しようとしかねません。「歪んだプライド」型は、かたくなに否定し続けます。「駄々っ子」型は、自分こそ被害者だと訴えたり、「居直り」型と同じく被害者を攻撃したりする可能性もあります。

 このようにパワハラを認めない人を翻意させること自体が難しいのはもちろん、多くの場合は加害者が強い立場にいるので、周囲が注意するのも簡単ではありません。社長など組織のトップがパワハラ加害者の場合もあります。